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コラム


Date | 2020-09-24

ガンダムと初恋

静岡県立美術館では今、ガンダムなどの監督を手がけた富野由悠季氏に関する展示会が開かれている。

一度もアニメを見たことはないけれど、ガンダムが目に入ると心の奥がキュンとする。

16歳、高校一年生の9月。

初めて彼氏ができた。

彼はガンダム世代、仮面ライダーも好きだった。

コギャルに憧れていた私はなーんの興味もなかったけれど、お小遣いを貯めて仮面ライダーの限定ジッポをプレゼントした。

勘がいい方ならお気付きの通り、彼はかなり年上、いい大人だった。

どんなにあがいてもコムスメに勝ち目はない、それでも一緒にいると幸せ、そんな恋愛だった。

付き合ったまま進学で上京した。

1日でも早く静岡を出たかった私には、東京での暮らしがとにかく楽しかった。

地下鉄に乗って大学に通い、バイトやサークル、終電まで友達と過ごした。

そんな生活を送る私に、彼は「さみしいんだ」と涙声で電話をかけてきた。

ずっと追いかけてきた力強い彼の、弱い部分を初めて知った。

「ごめんね」とだけ答えた。

何もかもが子どもだった私は、そんな時でも薄情で自分勝手な子どもだった。

付き合っていた頃の彼の年齢を私も過ぎ、少しは心の痛みに気付ける大人になっただろうか。

きっと展示会にも行くんだろうなと思う。

美術館前の街路樹の下でばったり再会…なんて素敵。

いや、アラフォーのおばさんと50も後半に差し掛かったおじさん、素敵なわけないな。

(フリーライター・名倉佐記)